八月十七日の営業時間

Aug 17, 2017

本日、夕方五時に閉店させて頂きます。
よろしくお願い致します。

#48 その先へ

Aug 16, 2017

ヂーケンのバーチー、ただいま夏休みに入っております。
今まで12年くらいもの間、僕一人でやっていたのに、今ふと独りになると、
保安官でいっぱいだ。あ、いや、不安感でいっぱいだ。
あと二日。木金を乗り越えればバーチーが帰ってくる。ああ、きっと、僕は耐えてみせる。


以前少し紹介した、彼のプライベートコレクションであるヴィンテージの生地。その中から先日、リクエストを頂き、製作しました。スキャバルのウールカシミアでシャツ。

ダ=ヴィンチだったか、ミケランジェロだったか、デ=アゴスティーニだったかが、「すでに石の塊から、彫刻の形は見えている。私はそれを取り出すだけだ」的なことを言っていた。ような気がする。
今回のこの生地、私にもその形が見えていた。つまりはそう、天才の域。
そこから大まかに、お客さんと一緒にボディバランスを考え、ディテールを決めて、上階のアトリエで製作。

上質な素材ほど、縫製が難しいことが多い。ピリついたり、フワついたり、ラジばんだりー。しかも今回は、super100'sのウールカシミア、しかも平織り梳毛、春夏素材。スーツ地。これ意外と、難しいの、スーツ地でスーツじゃない別のアイテム作るって難しいの。バランスが破綻すると、一気に堕ちる。

着物地で洋服作るのと似てるかも。吉祥寺のさ、お茶屋さんの斜向かい、わかる?そうあのレンガの建物に入ってそうな、和風ブティックに並んでそうなあの感じ。着物に仕立つならいいんだけど、洋服になると伊予柑がある、あ、いや、違和感がある。あれと近い。

だから、縫製仕様の一つをとっても予断を許さない、下手をするとその素材の良さが消え、ただただそこに重さを残すことになる。
線を一本縫うそれだけで、僕たちは話し合いを繰り返し、最良の道をかき分け探る。

結果、ヨークとフラップの裏にはカルロリーバのシャツ地。
芯なし。
前立て2つ折りの耳使用で、その中は補強用のコットンテープふらし。
縫い代処理は全て折り伏せ手まつり。
手縫うというのは、まるで宙でパーツを繋いでいる感覚に近い(というか実際に宙だし)。だから軽く仕立つ。ミシンのそれは、盤に置いて、押して抑えて接ぐ。だから頑丈ではあると当時に、重い。

完成し、水にさらして乾かすと、繊維がふくれ、ハンドステッチ箇所に微かな凹凸を浮かばせる。軽さが、増す。

こうして出来上がったシャツは、私のイメージをも凌駕し、まだ見たことがない、「その先」のモノになっていた。つまりはそう、天才の域を越えたってこと。ミケランジェロ越えたってこと。
 スキャバルとカルロリーバ、アンスナムの狂宴のトリプルネーム。

そんなジェロ越えを果たした私は今、チーバくんのいない店に、独り佇む。
だから、YouTubeでカラオケの練習をする。いつなんどき、突然マイクを渡されるかわからない。そんなご時世。常に準備は怠るべからず。
腹式を意識し、声の伸びを感じる。喉の奥を開き、声帯を心地よく震わせる。松浦先生、お元気ですか?

熱唱。熱唱甲子園。
星野源、セカオワ、buck numberなど、最近の歌も習得したけれど、秦基博や平井堅はさすがに無理が過ぎた。

喉が、枯れた。

そんな夏。

#46 旅する鞄  第4回「最高のひよっこ 背後のひよっこ」

Aug 11, 2017

八月九日。水曜日。

4:55 まどろみ
5:02 覚醒
5:05 起床
5:15 駅までダッシュ

この日、また浜松に行ってきたんだけど、
仕事の前にさ、行ってみたい所があったから、超早起きしたってわけ。
乗り換えもあるし、前回のこともあるし、ドキドキで、一睡もせずに浜松よ。あ、もちろんBGMはミスチルね。
そっから市内バスで揺られること1時間。目指すは井伊谷、直虎がいた龍潭寺(りょうたんじ)。3時間も早起きするくらいに、今年の大河も面白いわけ。

9:30 寺に到着
9:35 小堀遠州の庭(これを見るのも目的の一つだった)
9:36 庭を鑑賞中に蜂に襲われる
9:37 泣きながら退散
9:50 境内の立て札にある説明を読んでたら、壮大に、まさかの直虎ネタバレ

こっからが盛り上がるとこなのに。。。


龍潭寺の正門でピックアップしてもらい、いざ仕事。
さっと1件目を終え、2件目行く前に「さわやかハンバーグ」で昼飯を、と入店するもまさかの超満員。若い子ばっか。夏休みだわね。。。
けどさ、どうしてもさわやか行きたかったから、ちょっと我慢して、先に2件目の工場さん行ったの。この日のオレの、この意志の固さすごい。
13時アポだったから少し早いけど、まぁ大丈夫だろう、と。

12:45 工場到着
同刻 民家から桑田さんの歌が聞こえる
12:46 工場の事務所に入る
同刻 事務所内にいた見知らぬおじいちゃんがテレビで「ひよっこ」観てる。

ちょっっっっっと!
今日の回は早起きしたからまだ観てないっつーの!しかも、楽しみにしてた、実さん帰郷の回だっつーの!!

邪魔が入り、僕らを疎ましく思いながらも観ているおじいちゃん。
朝観たから大丈夫だよ、と言いながらも涙ぐんでる社長さん。
そして、仕事の話しながらも、背後のテレビが気になってしょうがない僕。

しかも、この日の放送、過去と現在のシーンがシンクロしてたわけ。だからさ、耳に入ってくるセリフだけだと、「?」「?!」なわけ。

そんなこんなで、三者入り乱れての会合は、心浮ついたまま終了。


13:30 肩を落として工場を出る
13:55 腹を空かしてさわやかに入る
14:20 ハンバーグを頬張る

さわやか最高、美味しかったです。生ビールも最高。

その後さらに、2件の工場さんとミーティングをし、東京に戻る。
家で、ひよっこやっと観たんだけど、まぁあ、本当いい回でした。ひよっこ最高。


こちらは、新作バッグと、前作バッグの比較です。
縫製仕様が違うので、ここまでクタクタにはならないけれど、光沢感はこれくらい。
手入れは、何もしてません。
ただ毎日使って、何となく擦れて、何となく皮脂が擦り込まれて。
現物も展示してますので、どうぞご来店の上、質感をご確認ください。

盆休みについて

Aug 7, 2017

定休日の火水以外は、通常営業。ようこそ東京。
もし、日時がなんとなくわかっている方は、事前になんとなく教えて頂けると助かります。ボーッとしてたり、寝てたり、tverでドラマやゴッドタン観てたりするんで、突然だと、ビクゥッ!てなります。
さっきも佐川急便のお兄さんが急に入ってきて、超ビビった。獣かと思ったマジで。

帰省や遠出のお土産も、絶賛受付中です。「ひよっこ」の富さんと同じ態勢です。
今朝の奥茨城女子会、最高でしたね。

#47 ANSNAM メジャーメントシャツ 生地編

Aug 5, 2017

この2、3週で浜松、掛川を回り(名古屋も一瞬かすった)、シャツ生地集めてきました。
以前も少し書きましたが、生地作りというのは、それぞれの正義があって、もちろんそのお互いがベストを目指すんだけど、そのベクトルが違うわけ。だから、「クオリティが高い」とはいえ、それは一概ではないわけ。
だからこそ、カルロリーバや、ボンファンティ、DJAとも互角に張り合える。名前出せないけど、海外の有名メゾンからの引き合いも多いわけ。

あ、で、肝心なことを言い忘れてました。
この浜松掛川産地の生地、期限あります。お盆明けたら、返却します。
今後も単発で時々、入るかもしれないけれど、ここにこんなに集合することは、ちょっと難しいかも。
シャツオーダーは継続でやりますが、個性的な生地をご覧になりたい方がいたら、どうぞお早めに。1着分しか取れないものもあります。

ドーラの海賊船が腐海に飲み込まれた感じ

経の糸はあなた 緯の糸は見えない

希少な織機が並ぶ

腐海2

胞子

大婆様。なんといういたわりと友愛じゃ。

加工待ち

さっきの経糸。こういうの、全部手で通すの一本一本。

JBLのスピーカーのホーンではない。

ご来店お待ちしております。

#47 ANSNAM メジャーメントシャツ

日々是好日。おかげさまで、毎日、楽しくやっております。海外で道に迷うこと、浜松を通過すること、その一つ一つもありがたく受け止め、楽しさに昇華させようと、日々精進する次第であります。
この日もそう、めざまし占いで射手座が一位、もちろんひよっこは今朝も素晴らしかったし、あさイチのプレミアムトークは高橋一生。これは幸先のよい、良き日になろう。否、この時点ですでに、良い日と確定である。


…ん、あれ〜、妙に変だなぁ。大切な荷物が届かないなぁ。佐川便のはずなのに今朝の着荷分の中にはなかったなぁ。届かないなぁ。どうしてかなぁ。 で、昨日の送り状FAXを確認して、私気づいちゃったんです。送り先の住所が千葉県長柄町…。
すでに荷物は営業所を離れてて、すぐにドライバーさんと連絡を取り、事情を説明。そして、長柄町のどこかで「すれ違いざまにかっさらえ(ラピュタでシータ救出の時のあれ)」作戦を練る。
レンタカーの予約もして、状況が発覚してから、40秒で支度した。
長柄町までのドライブ。当時の、様々な事を想い出した。あっという間のようで、なんだかとっても昔のようで。
ちょうど一年前はまだ店舗が見つからず、大変だった。
「とと姉ちゃん」「逃げ恥」「君の名は」。あと、桐谷美玲の月9ね。
ヒグラシが鳴き、夕暮れのベランダ寝そべり、飲むビール。



なんとも、素晴らしき哉、人生よ。全てが予定調和だなんてつまんないさ。工場さんには、白金台の店の住所は知らせたつもりなのにね、けどなんだろこの胸騒ぎ。やっぱり伝えてないのかもね、そうかもね。恐ろしいね、ほんとにね。

そんなわけで、往復5時間。戻りました。何とか週末に間に合いました。


メジャーメントシャツ。平日のビジネスでも着用して頂ける、パターンオーダー。
店にてサンプルを、細身とボックスシルエットの二型、サイズはそれぞれ5サイズでご用意。実物を試着して、寸法を調整するので、雰囲気掴みやすいかと。衿やカフスのデザイン、芯の固さも選べます。縫製はマシンオンリー、仕様も統一ですが、そのぶん価格、抑えてます。
生地はベーシックなものから、日本のシャトル旧式織機、デッドストック、そしてカルロリーバまで。生地の縮率をとって、製品洗いも可能です。

よろしければ是非。
価格:ベーシック24,000円、国産シャトルとデッドストック31,000円〜、カルロリーバ51,000円 (それぞれ税抜き)
納期:2ヶ月以内
日本製


ANSNAM cedar (アンスナム シダー)
108-0071
東京都港区白金台5-13-14 2階
定休日:火、水
営業時間:12〜19:00

tel: 03-6721-9192
info@ansnam.com





#46 ANSNAM 旅する鞄 チャプター3

Aug 3, 2017

バッグ、現受注状況から、これからのオーダー納期は9ヶ月ほど見ていただく事になりそうです。長すぎる納期かと思いますが、ビスポークとか、ハンドメイドはこんなもんです。のんびりとお願いします。いますぐ必要な方は他所の既製品を。すみません。
また、メールでのオーダー、ご相談も承っております。お気軽に。(普段は、実物の質感を確認していただきたいので、初めての方はご遠慮いただいてます。が、この鞄、色んな方にご納得いただける自信が満々なもので。)

ちなむとサイズは以下の通りです。
小旅行バッグ 幅46cm、高さ35cm、マチ18cm
ブリーフケース  幅40cm、高さ27cm、マチ8cm

さらにちなむと、GUIDIベイビーカーフのナチュラルカラーでオフ白ステッチバージョンも、展開します。サンプルないけど。ベルトと同じ感じです。

この鞄にしろ、ここの商品には自信ありますが、この僕という人間自身には、それが全くなくて。と言うか、僕が僕を疑うほどで、自信どころか、信用がならない。

旅という非日常の状況下で、その人間性は、見事なまでに露呈されてしまう。


ついこの前の火曜、休日返上で出張を入れるという、仕事熱心な俺。
目指すは浜松。

旅に音楽は欠かせない。というか音楽のない人生(旅)なんて考えられない。SHURE製のイヤホンからは、出張時のお決まり、ミスチルだ。なんでかな、いつもミスチルなんでかな。それともしくは、オーシャンカラーシーン。稀にスピッツ。つまりこれ、高校の頃から変わらない。

そういえばその昔、立ち上げたばかりの頃に、新幹線の移動時間とその特急料金を計算し、「新幹線に乗っていい時給の人」を割り出したことがある。当然その頃の僕は該当せず、各駅停車を乗り継いで、営業や機屋さんに行っていた。熱海駅と静岡駅が階段で、ちょうど今の時分、湿気と熱気でしんどかったわぁ。そんな時には、東海道中膝栗毛の時代を思って、耐えていた。あとあれ、ナンチャンのママチャリの旅。

そんな事に思いを馳せながら、車窓の遠くに、目をやる。やはり旅はいい。しかも列車の旅はいい。眺めてるだけで景色は移ろい、随分遠くへ来たなぁと、浜名湖岸を過ぎる頃に思う。
…ん?…妙に変だなぁ〜。だってそうじゃない、僕は浜松で降りるんだよ。なのになんで浜名湖があるのよ。浜名湖は浜松駅の西だよね…。その時、私気づいちゃったんです。この新幹線、浜松止まらないやつだ…。

ここで、旅情は無情に崩れ去り、車掌に事情を口上説明。気丈に振る舞い、けど実は、波状に不安が登場。余剰なきスケジュールに、この非常な現状。史上最大、ピンチ襲来、予断許さぬ采配。イェー。マイコフォーン。

とはいえ、なす術ないし、仕方ないし。名古屋からの折り返し、コンコースで土産の赤福買ったし、ホームできしめん食ったし。今この場所で、自分が出来うる限りのことは尽くしたつもり。コードブルーの山ピー(超絶カッコイイ)だってこうするだろう。

そんなこんなで、歯グキに張り付いたかつお節と、歯に挟まったワカメを舌で取ろうとしていたら、浜松着いた。かつお節は取れた。

予定到着時刻から、1時間半が経とうとしていた。
日本の旅でさえこれだから、本当に、旅は苦手だ。

ちなみに、浜松通過したの、2年ぶり通算二度目。


ANSNAM cedar (アンスナム シダー)
108-0071
東京都港区白金台5-13-14 2階
定休日:火、水
営業時間:12〜19:00



tel: 03-6721-9192
info@ansnam.com

#46 ANSNAM 旅する鞄 チャプター2

Jul 28, 2017

とにかく、でかい。
もし、僕がこの人の息子だったらきっと、お風呂でその背中を洗う時、面積の広さに絶望し、風呂場の床で泣き伏すだろう。横にも、縦にも、只ひたすらに、でかいんだ。
そんな人の作る鞄。
さも大胆な鞄なんだろうと思っていたら、なんとも繊細かつ丁寧な鞄だった。
あ、いやしかし、これは大胆でもある。ともすれば、レディーライクになるところを寸のところで、彼の個性がそれを抑え込む。剛であり、柔だコレ。絶妙なカーブの描き方、コバの塗り、縫製のふくらみ、構成バランス。技術とセンスを要するやつだコレ。上品で、豊かで、贅沢な作りだと言っていい。
彼と話すと、その鞄の持つ匂いを理解できた。声は小さくて控えめな物言いだけど、確固たる自信が保たれていて。目指すべき、行き先が見えてる人は、強い。
現在は、個人受注しか受け付けていない、完全オーダーメイド。そんな方に、無理を言い、ANSNAMの鞄を作ってもらったわけ。
 以前の小旅行用のバッグからの改良バージョン。というか、これはもう別物と言っていい。ハンドルは前回とは逆に、細く。肩に掛けられる長さはそのままに。ファスナーをも取り払い、シンプルな3ピース構造。
そして新アイテムは、ブリーフケース。このニュアンス、伝わらないね写真では。持つとシックリ、わかります。ステッチの一針一針、ハンドルのわずかな曲線。
使用するは、GUIDI社のベイビーカーフ(いろんな革、見てるけど、結局あなたに戻ってきちゃうの。やっぱこの人だなって想っちゃうの。もう、しようがないのっ)。そんなあの革が、こんな雰囲気に上がるなんて。いわゆるキレイ目の世界とは、相容れない素材なのかと思いきやの、この出来。世にある高級メゾンとも、アルチザン系ともまるで違う。この醸しをどう説明し、位置づけるべくか。ベイビーカーフの木目細やかさと、それに同居する異様な空気。どうにも隠しきれてない、謎の質感。
製作者の彼が、GUIDIのその特性を理解する人間だからこそ、ここに仕上がれるんだと思う。この感覚は、いくら長時間説明しても、伝わらない人には理解しえない感覚で。(だから本当はもう、彼とご飯食べに行く必要はないんだけれども、話してて楽しいから。また肉を食べに行きたいと、思うわけ。経費で落ちっし)
この鞄らが、ここからまた、使用を経て、皮脂が塗りこまれ、その自然な照りが出て、日に焼けて、どう変化をし育っていくか。

小旅行バッグ:¥250,000(税抜き予価)
ブリーフケース:¥170,000(税抜き予価)
納期:今なら8ヶ月


ANSNAM cedar (アンスナム シダー)
108-0071
東京都港区白金台5-13-14 2階
定休日:火、水
営業時間:12〜19:00


tel: 03-6721-9192
info@ansnam.com



#46 ANSNAM 旅する鞄

時々に僕は、旅慣れしてると勘違いされる。確かに、二十代前半は長期旅行していたし、今もこうして年に何度か海外へ行く。がしかし、決して僕は旅に慣れていない。というか、怖い。
空港での搭乗もマゴマゴで、いつも乗り遅れそうにドタバタしちゃう。思ってたのと違う料理が出てくることもシバシバで。(パスタといえば細長い麺が当たり前でしょうよ。なんで小さいネジ型とかホラ貝みたいのが出てくんのよ。なんで勝手に肉パオってんのよぉ。ったく。)
街歩きでは、地図を持ってしても迷ってウロウロ。恐怖でしかない。不甲斐なくて泣けてくる。成田離婚(死語)されそうなデザイナー第一位だ多分。いつの日か中田ヒデばりに颯爽と、空港をカッポしたいものだ。あ、ヒデはデザイナーじゃないか、ん、何なんだ彼は。

でこの日も、その例に漏れずに、そうだったわけ。
フィレンツェはすでに三回か四回も来ているから、ほぼほぼの土地勘、距離感、方向感覚、わかってきてた。街の広さ、大体にして我が故郷、是政三丁目から六丁目くらい。だからどこへも歩ける距離なわけ。ポンテベッキオが是政橋なら、アルノ川は多摩川さ。
で、ほらもう、フィレンツェ通だから、歩いてばかりも飽きるっしよ。刺激欲しいっしょ。だから乗るよね、ちゅうバス。けど是政と違うのはその路線数。結構あるわけ。
で今回、目的の場所までの最寄りルート聞いたんだけど、いざバス停に着いたらさ、忘れるよね。そ。ネットも繋がらないし。ね。何度も色褪せたバスマップを確認し、記憶の糸を手繰り寄せ、えいままよと乗り込む。すでにアポイントの時間だ。まあ、バスに乗れば、早いもんさ。すぐ着くさ。

しばらくすると、バスは行きたい方角から急に進路を変えた。が、まだ焦らないよ僕は。古い町並み旧市街、細い道が多くてね、一方通行ばかりなの。だからよく遠回りをするわけ。それがヨーロッパの車道さ。
けれどもソウコウするうちに、目的地はミルミル遠ざかる。あれぇ、妙に変だなぁ。いつしかバスは、アルノ川を渡ろうとしているの。そこでワタシ気づいちゃったんです、これ逆方向だ。
素知らぬ顔で、多摩川を渡りきったところで、ちゅうバスを降りる。仕方なくジェラートを食べながら是政橋を渡り戻る。中央駅のバスターミナルまでテクテク戻る。もうすでに、時間の概念は消えていた。


1時間以上遅れて着いた先、カバン職人さんの工房だ。
(続く。いや、まだ始まってもいないか)


小旅行バッグとブリーフケース。明日から。
夜に写真アップします。

#45 インファナルアフェア

Jul 25, 2017

Audio Dripper Tokyoの清田氏のご厚意により、来月からオーディオを取り扱わせて頂く事になりました。

そろそろショップにもオーディオが欲しいなと。アツいやつ。で、リサーチし始めた、この新世界。商品説明の、その単語の意味さえ、何ならその単位さえもが初めて聞くような、取りつく島もないと言っていい。(中学の時、1週ほど病欠したあとの、数学の授業のあの感じね)
絶望の淵は、すぐそこまで来ていた。
が、そんな中で、なぜか不思議と目に止まる、いつも引っ掛かるサイトがあった。
最初のアポの、電話だけで緊張した僕だった。けれど、本部となる浅草橋のショールーム、そのビルの、その入り口は、期待が湧くに当たり前だった。ここから先に、無間地獄が始まろうとは、露とも知らず。
一見すると、雑居ビルのようなその建物の中に入り、部屋へ案内された。
ヴィンテージの家具とともに、無造作のようで、けれども均衡よく保たれている機器のレイアウト。謎めくその一つ一つが、目くるめく。眺めるだけで恍惚となる。
これは…「ひよっこ」の島谷さんの部屋にあるのと同じ、フランク=ロイド=ライトのタリアセンだっぺ…。



清田氏のお人柄も素敵で、分かりやすい説明を聞きながら、いつしか緊張は解れ、最中を齧り、三杯のお茶を頂く。
そしてその、スピーカーから鳴る音に聴けば、今までにない感触が今ここにあるわけ。

男なら、分かってくれよう。この血が沸るSF感。


あとはもう、この世界に堕ちゆくのみ。

詳細は日を追って。随時報告できればと。

http://audiodripper.jp